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赤目四十八瀧心中未遂

車谷長吉の小説。1998年直木賞受賞作。

車谷長吉は、朝日新聞の「悩みのるつぼ」でいつも一風変わった回答を寄せているので
(あのコーナーの回答者はどの人も変わった回答する気がするけど)
気になっていた。
特にある男性教師の「女子生徒に欲情してしまうのだがどうすればいいか」的な質問に対して
人生は破綻してからがはじまり。破綻して、
職業も名誉も家庭も失ったとき、はじめて人間とは何かということが見えるのです。
あなたは高校の教師だそうですが、好きになった女生徒と出来てしまえば、それでよいのです。
そうすると、はじめて人間の生とは何かということが見え、この世の本当の姿が見えるのです。」
というような回答をしていたのには衝撃を受け、いつかこの人の書いたものを読んでみたいと思っていた。

それでこの「赤目四十八瀧心中未遂」。

期待を裏切らない内容!
車谷長吉ってこういうこと書く人だろうなって想像してたものがそこに。

主人公生島は大学を出て会社勤めをしていたが、
「中流の生活」に嫌悪しながらもそれを欲してもいる自分の矛盾に耐えられず、退社。
金は2年半で底をつき、漂流者として流れるうち、
やくざ者達の暮らす街でモツや肉をさばいて串刺しにする仕事をすることになった・・・。

というあらすじ・・・でいいのだろうか。
もっと複雑なはずだが、私の文章力では表現不能。
あ、ここより以下↓ネタバレしてるんでお気を付けを。

生島は自ら世捨て人となり、
狭いアパートの一室で肉をさばいて串刺しにし続けるという「つまらない」仕事をしている。
自身を「無能」「突っ転ばし」「腰ぬけ」と称しそうした場所へ至るべくして至ったとするが、
世話人の老女や階下に住む女からは
「あなたはここで生きていける人じゃない」
「しょせんインテリのたわごと」
と言われてしまう。
関係を結んだ女と心中を企てるものの、最後は「あんたはあかん」「うち、あんたを殺すことできへん」
と道連れになることを拒絶され、女は独りで苦界へと戻っていく。

自ら「苦しみ」を選ぶ生島と、
生まれた時から「苦しみ」から逃れられない運命を持つ女。
いくら苦しい生活を経験しようが、所詮は自分で選んだ道。
「物のはずみ」で選ばざるを得なかったとしても、生島には選択肢が与えられていたはずなのです。
選びようもなく苦しみを背負わされる女の人生の理不尽さと生島のそれは本質的に差がある。

やっぱり、苦しもうとして苦しんだところで、
苦しみたくなくてもそれを背負わざるを得ない、不可避の人から発される「言葉」の重みにはかないません。
所詮生島の苦行はポーズでしかない。
それでも心中未遂の道中、女と心を通わせ合ったことは真実。
死ぬのか、死なないのか、
(タイトル未遂なんで死なないのは分かってたけど、どんな形で未遂となるのか)
最後に女がどういう決断をするのか、どきどきしながら読んだ。
本当に堕ちている者と堕ちようとする者のギリギリの違いが
最終的に彼女にギリギリの決断をさせたのだと思うと・・・。
ラストもいい!

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Author:うみどらねこ
映画を見るのが好きで感想を主に綴ってます。
ネタバレもあるので閲覧注意!

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